固く頑なに閉ざされた
重く冷たい鉄の扉

剥き出しの柔らかい貴方は
荊で織りあげた服の中
全身を血だらけに彩ったまま
冷たい鉄の床の上に
倒れるように
踞っているのでしょう

貴方の泣き声さえも
何も
世界には伝わってこないけれど


「hello,hello」


貴方を呼んだ声も
貴方にあげたい歌も
この指先も
何も
扉の先には伝わらなくて



独りぼっちの闇が震えて

静かに静かに泣いていた

独りぼっちの声は震えて

波紋になる前に掻き消えた




ここにいるよ
私は、私はずっと
ここにいるから

いつか貴方に
優しい花の香りが
差しのべられた光のように
せめて、どうか届くように

私は花を蒔こう
冷たい鉄の扉を埋め尽くすように
柔らかな春の香りが
貴方の傷を、少しでも、少しでも
暖めて癒してくれるように


ここにいるよ

私は、私はずっと

ここにいるから


貴方に逢いたいと

泣いているから













花水木の花言葉は、

「私の想いを受けてください」



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