昔、昔ではないようです いつかの明け方のことでしたもう誰も覚えていないほど遠い昔の雲の上人の生み出す言霊をばらばらに千切ったかみさまがどうやらどうにも憂い顔 ついとその手を伸ばすや否や人々の話す言葉から誰かを傷つける言霊を全て取り上げてしまったのです 彼女は私に問いました 「それでみんな幸せになったの?」 私は黙って微笑んで 「とても静かな世界になったよ」 そう言って、眠りにつきました ある日の夢の話です