Sun Sun Shower

 
 <お天気雨>

ぽかぽか うららか春の日に                         
泣いている子が 歩いてる

森の木漏れ日 きらきら揺れて
つぼみのたんぽぽ うたってた

ぽかぽか 優しい春の日に
空のおひさまが 泣いていた
あたたかい日差しと手を取って
光のシャワーが 降っていた

空のおひさま 泣いていた
きらりきらきら 光に光る
金の雨粒が森に降る

あたたかいはずなのに つめたかった            
つめたいはずなのに あたたかかった

春風も眠る春の日に
空のおひさま 泣いていた
森を涙で 染め上げて
光と一緒に 投げかけた

泣いている子の 頬に落つるは
その子の涙 おひさまの涙

さんさんと降る お天気雨が
そっと静かに 歌っていたよ

淋しい 淋しいと 泣いていたよ
 







<夜空のなみだ>

月が泣いてる 星が泣いてる

遠く遠くで 泣いている
声を殺して 泣いている

音の無い宇宙(ココ)は寂しすぎると
みんな独りで 泣いている

月が泣いてる 太陽が泣いてる
地球の涙に 泣いている
声を届けることも出来ずに
何も出来なくて 泣いている

ボロボロなのに美しく輝く
星の姿に 泣いている


せめて貴方が道に迷わぬよう

せめて貴方が凍えてしまわぬよう


たとえ貴方が 私たちのことを
心蝕まれ 忘れてしまっても

ずっとずっと 貴方を照らすよ。















その美しい光は
目に沁みてしまうほど
輝いていて

あまりにも儚い彼らの世界

針先のような光は
涙に消えるほど小さくて
それでも夜空を
導き続けて

優しすぎる彼らの光が
僕の目には眩しすぎるよ

涙を紡いで
歌を紡いだ
届かない声の代わりに

僕を包む闇から目を背けたくて
悲しい光を灯したんだ
闇に馴染みすぎた目で
生まれない声の代わりに

 







<迷い子のこえ>

こんなにも 美しい世界の中で
どうして僕たちは泣いているんだろう
心の扉を開かなくても
鍵穴から零れる 赤い涙の雨

届かないのは逃げているから?
声が出ないのは溺れているから?

元々細すぎた脚だったのに 耐えられるはずがなかった
自分で打ち込んだ楔(くさび)が 声を殺して泣いている

みんな歌う 淋しさも不安も抱き殺して
前に進むだけが全てなら
羽を潰してしまった小鳥は 一体何処へ飛べば良い?

守りたい人さえ 守れなかった手で
知らず知らず 人を傷つけた手で
自分を抱きしめられているのか 少しずつ分からなくなってゆく
私が今何処へいるのか 知っている方はいませんか
自分を守れるのは自分だけよと 昔聞いた歌が笑った

誰かの声が響いていくよ
寂しいよ怖いよ凍えてしまう 誰か助けて私を助けて
誰かの声が響いていくよ
貴方に逢いたいその笑顔が見たい お願い行かせて拒絶しないで
同じ声が紡ぐ 痛いほどの我侭と優しさが

閉じ込められていた泣き声が 世界へ静かに降っていく
美しいのに残酷で 冷酷なのに優しくて
何を信じたら良いのかさえ とても難しい私たちの世界へ
泣きながら歩く 迷い子の子へ
 



2008年 文藝部誌「游」 迎春の号掲載
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