世界の音を呑み込んで
静寂に降る 雨の原

全ての色を掻き消して
天井に似る 雲の板


いつも貴方は 別れも告げず
そっと消えていった

足跡だけが遺されて
旅人は次の地へ廻る



風の歌だけが

佇んでいるの



平らかな白の彼方にて
光は 今日も青を抱く



消えて往った夏の歌を
廻って逝った夏の香を
呼んで泣くのか 寂しげに
秋雨に濡れる 雨蛙
一人はぐれて か細くも
冷たい雨に 震えても


「どうか」


「どうか」


時に置いていかれても
黒い瞳は輝いて
冷たい雨に 打たれても
最期の鼓動が消えるまで

途切れ 途切れ
歌い続く
独りぼっちの秋蛙

凛と震えた
歌声よ


「叶うなら、」



なんて強い

歌声だろう


>>

inserted by FC2 system