青い空をざあざあと
氷晶の舟が流れていきます
其処はどんなにか冷たくて
そして清浄な世界でしょうか

雀と烏と鳩と鴨
たった片手で事足りる
鳥さん鳥さん
こんな狭い渓谷を
わざわざ飛ばなくても良いでしょうに


それでも緑は輝くのです


首を痛めても痛めても
この渓谷は狭すぎるのです
高く高く聳える雑多な大地
斑模様に不調和の後
ああほら また邪魔をする


この狭い狭い渓谷の底から
見上げる空はあんなにも青く
天使が気持ち良さそうに
悠々と翼を広げています

周りには仲間が沢山沢山沢山いて
この渓谷を愛していて
だのに私は、
目に霧の板を立て掛けて
仲間を見るよりもずっとずっと真剣に
空を青を 緑を風を
泣きそうになって見つめています
静かな静かな
仲間のざわめきの無い
そんな世界にばかり
焦がれて 焦がれて



現実遮断は簡単です
人のない孤独な世界なら
自分の中の醜いものにも
気づかずに
いられるのですから。



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