誰も知らない外国の
誰も知らない野の原で
ただじっと
ただじっと
視線さえをも動かずに
立ち尽くす昼を夢にみる

冷たい雨が降っていて
灰にぼやける緑のふちで
びしょ濡れになり
身体の芯が震えても
誰にも叱られることのない
美しい野の原を夢にみる


幸せは
ただありのままに


電信柱もビル影も
人の作った何もかも
視界に映らぬ野の原で
ただしんしんと降る雨に
震えて震えて
打たれていたら
人の世界に仰ぎ見る
青い薔薇を探してしまう
この心を殺せるでしょうか
差し伸べらるる優しさを
子供のように望み続ける
なんにもしない我が儘の
この手は壊死してくれるでしょうか


だぁれもいない野の原で
冷たい冷たい雨に降られて
ひとしきり泣いた後ならば
誰かにすがることもなく
もう夢を見ることもなく
静かな静かな平穏に
一人で生きてゆくことが
出来るようにはなるまいかと
誰の愛をも望まずに
ただそっと
人を愛せるような
強い人になれまいかと





さようなら
おやすみなさい

目が覚めたなら
もう一度



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