聴覚だけのいきものたちが
木琴からころ鳴らしてた
優しく澄んだ良い音色
ひとりひとりが良い音色
だけど ひとり
どうしても
上手く鳴らせない
飛び立とうとして落っこちるへたくそな鳥のように
ぼてん
ぼてぼて
ぼぼぼぼ ぼ
ぼた
ん
あああ あ
身体を小さく硬くして泣きそうなあのこには
わからない
なにかが 例えば些細な指先が
震える音を鎮めているのか
それとも最初から
木琴の生まれがいけなかったのか
それでも 耳を澄まして
鳴らし続けるしか
生きてゆくやり方も
あのこは しらないのです