造られて曰く
突っ立ってればそれでいいと。
何かがおかしい?
必死に考えようと
もがいても
おがくずがかさかさ
頭の中で
けらけら けらけら
からからの
心で
のっぺらぼうのまま
ただ憧れと
夢だけに恋して

悲しい、悲しい

かかしの歌声が
恐ろしいから
驚いて鳥は逃げたけど
歌の内容は空っぽなので
そのうちどうでもよくなって
動けないかかしの肩の上
秋の日差しを賛美歌にする





従順に全てを呑みこむことでしか
生きていけない
黒羊
それでも
その角を
振り翳す為に

雌羊ならばどうすれば。





不自然に優しすぎる人の
心の中をのぞいたら
きっと?
草葉の煙を吸いこみ過ぎた
あの柔らかな肺肉のように
知らず知らず溜まっていった
黒いものが
黒いものが
ああ、ああ
人を傷つけたくないと願って
自分を傷つけて
心を病む現代人優等生
誰かを愛して
傷つけることを恐れて
ささやかな痛みすら
気付かない(ようにして)
盲目に
みんなみんな
笑顔で吸って吸って
吐かないで
過呼吸に悶え
早く
こんなに儚い
あんなに愛した人を
いつか
愛せなくなる
呪いが
優しい人には付き纏うと
思う私が
呪われているのか





どうしようもなく沈澱する
この苦いものに
蝕まれて
誰かを恋うることを
忘れてしまっても
ほどけこぼれる言葉の砂を
おぼつかなく
拾い上げて
泥の中から
刹那に開く
花の夢のような
歌を
うたえたら
わたしは
あなたを
憎まずに
いられるでしょうか





謙遜
過ぎて
卑屈れてしなしな
泣き崩れた雛菊から
嫌いの感情を取り上げたなら
いつでも笑顔で
幸せで
私は私が大好きだって
ねえねえ見てみて綺麗でしょうって
高らかに
どうしてかしら
摘みたくなるの
ずるい
ずるい
枯れないで
咲かないで
ただ静かに
揺れていて

私は名前すらも持てない。





からっぽですか?
そうですか

おめでとう
貴方はきっと
とてもとても素晴らしい
音色で歌う鐘になる
打たれなくっちゃ
歌えなくても





どうか誰も
誰一人も
わたしに
モンシロチョウの幼虫から
青いルリカケスに変われなどと
無理難題を言わないでください

たとえ今が

空を飛んでいた森のすずめが
地を走るオオクロアリに
変わってしまうような時代だとしても





広すぎる海原に迷わないよう
船は錨を打ち込んだけど

錨を打っていた大地が砕けて
船は遭難してしまったとさ





あなたに捧げる尊敬の花束に
これでもかこれでもかと紛れ込ませた
嫉妬の種が芽吹く前に
おやすみおやすみ私の悲鳴
走れ走れ歌うように泣くように笑うように
逃げるのです
膨れ上がるこの胸の内から
空にも羽ばたけるくらいまで!

愛しています愛しています
私の前に立ちはだかる貴方を
こんなにもこんなにも愛しています!





ことばあそびの
ことのはあそびの
ことばことこと
ひとりはらりら
ちぎってならべて
はらはらひらり
まいおちとけても
もともとのいみを
わすれさられて

まどのそとにはしましまの
しまうまようせいとんでって
そらにぱたぱた
はながめぶくよ
もうおぼえていないなつのひの
にゅうどうぐもをだきしめるよ

いみなしこなし
おちたことのは
うまれもしないね
そんざいもなし?



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