愛した人に嫌われること
愛した人を嫌いになること

辛いのは、どちらだろう





世界を憎むだけの偽悪者になるくらいなら
嘘っぱちの偽善者でいい
私は世界を信じていたい

叫ぶ彼女の言葉はぼろぼろだった





眩い光に切り裂かれた闇が泣いている
泣いている
隠しておいた火傷の痕を
はっきりと見られてしまったから
でもね
自分がいいことをしたと思って
にこにこしてる光には
見えやしないから
闇は笑っていうのだ

ありがとう
本当にうれしいよ。





自分がどんなに幸せで恵まれているのか
いま自分が生きているだけで
声を掛けてくれる人がいるだけで
それがどれだけの奇跡に値するのかを知りながら

旅立つ若者は
日常を捨てるのです


何故?
何故って

重い重い潰されそうな荷物を持って、貴方
貴方の好きな場所へ出かけたいと思う?





吸い込まれそうなほど透明な空




木の葉が互いの身体に触れ合う音がする

世界で一番美しい
万華鏡の木漏れ日を
その光が踊る姿を
ただ、見上げていたら
急ぎ足で歩いていく人波の
鞄に
邪魔だと睨まれました


もったいないなぁ

お金がいらないどころか
時間をゆるやかに流してくれる美術品なんて
そうそう人は作れないのに





ハロー、偽善者さん
今日も幸せかい?


鏡に向かって
×××は笑った





無くしてからそのものの価値に気づく?
違うよ
無くしてしまって寂しいから寂しいから
思い出に縋って酔ってるだけさ

そう言ったあの子の横顔は
とてもとても寂しそうだった





消えるなら跡形もなく消えるのがいい
そして唐突に消えるのではなく
少しずつ少しずつ、人の記憶から消えて行って
誰からも忘れられたころに
霧みたいに消えてしまえばいい

そうしたらほら、きっと
誰のことも忘れてしまうから
私も、誰も、さびしくないよ





言葉が消えた
ペンが落ちた
蹲った
人影の底で
崩れ落ちた
一粒の涙に
百万の言葉は
手も足も出なかった





静かな静かな悲しい夜に
電車の扉がひらく時
決して足元を覗いてはいけない
貴方の佇むその場所と
貴方の帰るその場所の
間に
暗い奈落が紡がれて
疲れた心を引き摺りこもうと
底で彼が待っているから



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