意味の伴わない茫漠色の言葉ばかり
実感の伴わない死んだ言葉ばかり
並べて!
言葉のさざ波の走る
湖の向こう
白い少女が
その細くか弱い人差し指を
まっすぐに持ち上げ
伸ばし
指差し
告発する
弾劾する
「ほら、また」
森の静寂を破り
少女は叫んだ
「うそつき! うそつきうそつきうそつき!!」
抉られたおなかを抱えて
(当然だ、刺されたのだから、)
うずくまる私の声は息を止める
(刃突き立てられた子宮からたらたらと糸を引く血を流しながらなんてそんな言葉は幻だ)
洪水のような表現技法に埋もれた想いの芯を
道行く人は見つけない
(わたしのうたはだれかのものじゃない)
美しく繊細に幾重にも巻きつけたその言葉の織物を
彼女は指さして叫ぶ叫ぶ
言葉で引っぺがせるのならば全てなくなっていっそ沈黙、
(きこえないよ)