暖かく幸せな絵本の中へ
心を閉じ込めた夢を見たのよ

空ろな瞳で笑うあなたの
こころは何処へ置き去りか
遠く遠く暗い暗い
真っ暗な表紙の絵本の中へ

嵐のように流れる世界から
耳を塞いで 絵本の中へ逃げ込んだ
陽だまりの池のような
暖かく
幸せな夢の中

永遠に覚めない幸せな夢なら
現実と名を授けましょうか?


時間の止まったぬくもりの中
ずっとずっと夢に見ていた
絵本の中の小さな世界




「ああ、これが私の」




心を痛ませるもの全てを
黒いインクで掻き消して
なんて美しい夢の世界
いつまでも いつまでも
夢に見た 美しいままに


時の止まった………






流れない世界
彼女は夢を見る
朽ち果てていく心から
零れ落ちる黒い血も 咲き乱れるまだらな花も
白く浮かぶ泡の模様 めまいを呼びおこす香りさえ
気づいた時には夢の跡

聞こえる
本当の世界の
美しい歌声が
塞いだ耳を貫いて

本当に美しかったのはどの世界
外へ押し出したはずの世界は
いつからか入れ替わる
夢の果て


あの日心から締め出した あんなに醜い後姿は


「ああ、あれは、私の」





本当に 美しかったのは どの世界
朽ち果てた心で立ち尽くす
黒い涙はくずおれながら
夢を呼びもどそうと
いつまでも


「私の歌う愛の歌」
「いつか朽ち果てた 偽りの歌」
「流れる世界の裏側で 奏でられてた歌声に」
「もう 二度と届かない」




「全ての憎しみを私に向ければ」

(もういちど)

「全てを 愛することができますか?」





浸みた涙の底に沈めた
真っ黒な表紙の小さな絵本
悲しい物語は綴られる

そう、永遠に、永遠に



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